【実践コラム】小規模企業の財務管理体制の問題点


…資金調達が一発勝負になっていませんか

借入が必要になりそうだと分かっていても、日々の業務に忙殺されて後回しになり、いよいよ資金が切れそうなタイミングで金融機関に駆け込む・・・
ご経験のある社長様も多いのではないでしょうか。

本来、資金調達業務は、資金が不足した時だけ行う業務ではありません。どれぐらいの資金が、何のために、いつ頃必要なのかを事前に把握し、どれぐらいの資金を、どこから、どのようにして調達するかを戦略的に進めていく業務です。財務業務を戦略的に進めるためには、財務に関する知識や経験が必要です。
まずは貴社の財務レベルをチェックしてみましょう。

□今期、どれくらいの資金調達が必要か分かっている。
□公庫、信金、地銀、メガバンク、ベンチャーキャピタル・・・各金融機関の特性を熟知しており、どの金融機関から調達するのが最善か分かっている。
□短期借入、長期借入、社債、リース、出資・・・借入の種類と特徴を熟知しており、どの方法で調達するのが最善か分かっている。
□金融機関の考え方を熟知しており、金融機関が評価するポイントが分かっている。
□融資を受けやすくするために必要な資料が何か分かっている。

いかがでしょうか。チェックの数が少ない場合は財務レベルに改善の余地があります。業績が落ち込めば、途端に資金調達が難しくなる可能性がありますので、次にご提案する財務戦略を実践してみてはどうでしょうか。

■ 小規模企業に適した財務戦略

1.調達目標額を決める
仮に業績が落ち込んだ時、金融機関は助けになりません。自分の身は自分で守らなくてはならないため、有事に備えて、「借りられるだけ借りておく」ことを目標にしてはいかがでしょうか。

2.取引金融機関(調達先)を選定する
小規模企業の調達先の選定基準は、「最も安い金利の金融機関ではなく、最も多く貸してくれる金融機関」です。銀行の知名度や、多少の金利差に惑わされず、積極的に融資をしてくれる金融機関を選びましょう。年商3億円未満の企業の場合は、信用金庫(組合)→地銀→メガバンクの順であたるのがセオリーです。

3.金融機関と良好な関係を構築する
最大限の調達を行うためには、金融機関を味方につけることが必須です。金融機関が好むのは、ディスクローズをしっかりと行える企業です。試算表や資金繰り表をリアルタイムで作成し、定期的に提出することで、金融機関からの信頼は大きく高まります。

この程度の財務戦略を実践するだけでも金融機関の反応は大きく変わるはずです。資金調達は一発勝負ではありません。お金を借りる時だけ対処するのではなく、戦略を持ち、日頃から資金調達に備えておくと安心です。