【経営コラム】中小零細企業の人事政策について(その2)


…【従業員の能力】と【その従業員に求める業務】のミスマッチ!

前週号で、人が辞める理由の一つにあげた、【従業員の能力】と【その従業員に求める業】のミスマッチに関連して、「ピーターの法則」
をご紹介します。

■「ピーターの法則」〔その組織の仕事は、まだ出世の余地のある、無能レベルに達していない人間によってのみ遂行されている。〕、言われてみれば「なるほど」と納得できることは少なくありません。「もっと早く知っておれば…」と後悔します。
「知らないことがたくさんある、いや、我々は世の中のことの大半を知らない」、この境地こそ「無知の知」(=自分が無知であることを自覚する。)で、この考え方にたどり着いた時にはじめて、人は成長のためのスタートラインに立てる…ある偉人の言葉です。

■『ピーターの法則』、ご存知でしたか?以下は、よくあるマネージメントの愚行です。

○「第一線の営業マンとして頭角を現したA君、主任に昇進させてチームを持たせたら、途端に覇気を無くしてしまった。将来の幹部候補生として期待していたが、係長への昇進も見込めない。それでも不得手な主任に留めています。」

○「営業部長として営業の中核部門を背負ってくれていたB部長、営業成績を長期間維持、向上させた功績で取締役に昇進させて経営陣に加えたが、経営者としての手腕は発揮されない。平の取締役で生涯を終えてもらうことになりそうだ。それでも不得手な経営陣に留めています。」

第一線の営業マンとして優秀であったA君を、不得手なマネージャーに昇進させたうえで放置する愚行を行っています。敏腕営業部長を、不得手な経営陣に昇進させたうえで放置する愚行を行っています。

■ピーターの法則〔ウィキペディアより引用〕により、上記の愚行が提唱されています。

〔南カリフォルニア大学教授の教育学者ローレンス・J・ピーター(Laurence J. Peter)によりレイモンド・ハル(RaymondHull)との共著 THE PETER PRINCIPLE の中で提唱された。日本では1969年、『ピーターの法則―〈創造的〉無能のすすめ(ローレンス・J・ピーター/レイモンド・ハル 田中融二氏訳)』がダイヤモンド社より出版された(2003年再版の新訳は渡辺伸也氏)。〕

1.能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。すると有能な平(ひら)構成員も無能な中間管理職になる。
2.時が経つにつれて人間はみな出世していく。無能な平構成員はそのまま平構成員の地位に落ち着き、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は無能な人間で埋め尽くされる。
3.その組織の仕事は、まだ出世の余地のある、無能レベルに達していない人間によって遂行される。

■解決方法として、以下を提唱されておられます。

「この問題を回避するために組織がとりうる手段として、次の段階の仕事をこなせる技術と仕事のやり方を身につけるまで人材の昇進を控える方法が挙げられる。例えば、管理能力を示さない限りは部下を管理する地位に昇進させない、などである。
◆第1の帰結は、現在の仕事に専念している者は昇進させず、代わりに昇給させるべきである。
◆第2の帰結は、新たな地位に対して、十分な訓練を受けた場合にだけ、その者を昇進させるべきである。これにより、昇進の(後ではなく)前に管理能力に欠ける者を発見することができる。」

今後のマネージメントや、自身のキャリア形成に大変役立つ知識です。頭の引き出しに、所番地を決めて保存してください。

■3つの最適化、このバランスが崩れた時に人は退職します。
在籍中であれば、経営的にも不合理な状態です。

1.【従業員の市場価値】と【会社が支払う給与】のミスマッチ
2.【会社が従業員に求める業務】と【会社が支払う給与】のミスマッチ
3.【従業員の能力】と【その従業員に求める業務】のミスマッチ

「ピーターの法則」は、3つ目の【従業員の能力】と【その従業員に求める業務】のミスマッチについて言及されているとも解釈できます。また、その解として、
●「現在の仕事に専念している者は昇進させず、代わりに昇給させる。」
●「新たな地位に対して、十分な訓練を受けた場合にだけ、その者を昇進させる。」
を提言されています。

貴社におかれましても、この機会にご検証ください。

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