【実践コラム】1期目の決算を終える前に1,400万円の追加融資を受けられた事例


『400万円の創業融資を受けた新設企業が、1期目の決算を終える前に1,400万円の追加融資を受けられた事例』

事業と資金調達は切っても切れない関係があります。
特に、仕入れは即金、販売は掛売りで事業を行っている場合、資金調達が出来なければ、たとえ顧客がいても売上を伸ばすことは出来ません。本日は、設立1年目ながら、積極的な資金調達で事業を拡大している関与先様の事例をご紹介いたします。

A社の社長様が来所されたのは、約11か月前です。
「衣服類のインターネット通販事業で独立開業したいので、会社の設立と資金調達をサポートして欲しい」との依頼でした。
自身で貯めた資本金100万円と、親からの援助金200万円をお持ちでしたので、日本政策金融公庫の創業融資制度で600万円の融資申請を行いました。

日本政策金融公庫の回答は、「まずは400万円で様子を見させてください」とのことでしたので、合計700万円の資金で事業をスタートしました。

A社のビジネスモデルは、中国から仕入れた衣服類を国内のネットショップで販売するものです。
仕入価格の倍の価格で販売しておりますが、中国からの仕入は先払いです。
調達した700万円のうち、500万円程度で初期仕入を行い、2か月をかけて1,000万円の売上をつくりました。次に、固定費300万円を差し引いた700万円を仕入れにまわし、さらに2か月で1,400万円の売上をつくりましたもっと大量に仕入ができれば、より大きな売上を作れるという状況でしたが、時間をかけながら少しずつ仕入資金を増やすしか方法はありません。

10か月が経過した頃、月商は1,000万円にまで拡大していましたが、月商の増加に伴い、人件費や広告費などの販管費も膨らんでいました。

そして突然、「販管費の支払いを行うと(売掛金を回収するまで)仕入が出来ない」という事態に陥り、社長様が慌ててご相談に来られました。

設立後10か月しか経過していない状況で融資を申し込んだ場合、予想される金融機関からの回答は、「1期決算を終えてから」というものです。確かな数字を拠りどころとしたい金融機関にとっては当然の回答です。そこで多くの企業は、資金調達を諦め、資金を回すために仕入れのペースを落として(売上のペースを落として)対応せざるを得なくなります。

弊所では、まず、決算の品質に近い試算表を作成しました。
そして、顧問税理士事務所である弊所が、試算表の説明を直接金融機関に対して行いました。
試算表は単なる社内資料であり、数字の正確性が担保されないため、「決算書が出てから」となりますが、税理士事務所が責任を持って説明することで、そのハードルを越えられる場合があります。

次に、資金繰り実績表を作成し、設立から現在までのお金の流れを明確にしました。
お金の流れを明確にすることで、仕入資金が先に出ていくA社の取引の流れが良く分かります。
資金が不足している理由が、赤字の補てんでは無く、売上を伸ばすための前向きな資金であることを正確に理解してもらえます。

結果は日本政策金融公庫で700万円の追加融資、B信金の保証付き貸出で700万円の新規融資、合計で1,400万円もの資金を調達することが出来ました。1,400万円の仕入資金が調達できれば、月商3,000万円の事業規模に一気にステージを上げることができます。資金調達を諦め、売上のペースを落とさざるを得なかった企業に大きな差をつけることになります。

企業と金融機関の間に税理士事務所が入り、企業の信用を補完するという新しい仕組みを取り入れることで、企業の資金調達力が向上します。また、金融機関にとっても、これまで取り組めなかった融資に取り組めるというメリットが生まれます。

銀行融資プランナー協会正会員事務所である当事務所では、この新しい仕組みづくりを推進しています。

金融機関との円滑な関係構築は、有利な事業展開に欠かせません。
当事務所を上手にご活用ください。