【実践コラム】『税金が原因で倒産?税金が払えないメカニズム』



あるインターネット関連企業が経営難に陥りました。
マスコミでも時々取り上げられていた名物社長は、税金の支払いを要因のひとつにあげています。

分割払いに応じてもらえると高を括っていたが、「1週間以内に全額を支払わない限り、財産を全て差し押さえる」と国税から通達されたことが誤算だったようです。

このニュースを見た顧問先様から、税金対策をしたいとの連絡がありました。

この顧問先様は、設立1年目ながら業績が好調で、今期初めて迎える決算では1,000万円程度の利益が見込まれています。ニュース同様、
納税資金が手元にないとのことでした。

「利益は出ているのに手元に資金が無い」というのは良く見受けられるケースです。
ただ、利益以上の税金が発生することはありませんので理論的には必ず払えるはずです。
なぜ税金の支払いに苦しむ会社が多いのでしょうか。

まずは消費税から考えてみます。消費税は企業が負担するものでは無く、消費者が負担する税金です。企業は売上と一緒に消費者から税金を預かっているだけなので、預かった消費税をそのまま期日に納税すれば良いはずです。期日に納税資金が無いという事は、預かった税金を自社の事業資金に充ててしまっていることを意味します。

一時的に事業資金に使用することはあっても、預かっているお金であることをしっかりと認識することが大切です。

次に法人税です。法人税は利益に応じて一定の税金を納めます。
利益が出ているにも関わらず税金が払えないのは、納税の時点では「利益がまだ現金化されていない」ということがひとつの要因です。その時点での利益は、「売掛金」や「在庫」の状態となっていますので、税金の支払いに充てることが出来ません。法人税は最大でも利益の40%程度ですから、売掛金や在庫が現金化されれば支払いは可能です。
税金の支払いに苦しむ理由は、「金額」では無く「支払いの時期」にあります。

支払い時期の問題を解決する方法としては、「支払いを待ってもらう(分割にしてもらう)」「借入で支払う」などがあります。顧問先様に対しても、「税金は借入で支払えば良いので、思い切って利益を出してください」とお伝えしました。顧問先様の反応は「えっ!税金を
払うために借金をするのですか?」というものです。

「利益」の仕組みを知らなければ当然の反応でしょう。

納税のための借入は、やがて現金化される利益で返済が可能なリスクの小さな借入です。
税金の事を考えて、無理に利益を減らすような経営は会社を弱らせます。
利益が出ていれば必ず税金は払えますので、安心して利益を出しましょう。