【実践コラム】経営者保証改革プログラムについて

…経営者保証に依存しない融資慣行の確立が進んでいます。

経営者保証は、資金調達の円滑化に寄与する面がある一方で、スタートアップの創業や経営者による思い切った事業展開を躊躇させたり、円滑な事業承継や早期の事業再生を阻害したりする要因になっています。

金融庁は、このような課題の解消に向け、これまでも、経営者保証を提供することなく資金調達を受けられる要件を定めた経営者保証ガイドラインの策定及び推進を行ってきましたが、民間金融機関における融資については、今のところ大きな変化が見られていないのが実情です。

よって、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速させるため、経済産業省・金融庁・財務省による連携の下、「経営者保証改革プログラム」を開始しています。

プログラムはいくつかありますが、そのうち、民間金融機関の融資に関する取り組みについて見てみましょう。

以下、金融庁のホームページから引用させていただきます。

■保証徴求手続の厳格化、意識改革

  • 監督指針の改正を行い、保証を徴求する際の手続きを厳格化することで、安易な個人保証に依存した融資を抑制するとともに、事業者・保証人の納得感を向上させる。
  • また、「経営者保証ガイドラインの浸透・定着に向けた取組方針」の作成、公表の要請等を通じ、経営者保証に依存しない新たな融資慣行の確立に向けた意識改革を進める。

1.金融機関が個人保証を徴求する手続きに対する監督強化

1)金融機関が経営者等と個人保証契約を締結する場合には、保証契約の必要性等に関し、事業者・保証人に対して個別具体的に以下の説明をすることを求めるとともに、その結果等を記録することを求める。【2023年4月~】

  • どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか
  • どのような改善を図れば保証契約の変更、解除の可能性が高まるか

2)1)の結果等を記録した件数を金融庁に報告することを求める。【2023年9月期実績報告分より】
※「無保証融資件数」「有保証融資で、適切な説明を行い、記録した件数」100を目指す。

3)金融庁に経営者保証専用相談窓口を設置し、事業者等から「金融機関から経営者保証に関する適切な説明がない」などの相談を受け付ける。【2023年4月~】

4)状況に応じて、金融機関に対して特別ヒアリングを実施。

2.経営者保証に依存しない新たな融資慣行の確立に向けた意識改革取組方針の公表促進、現場への周知徹底

1)金融機関に対し、「経営者保証に関するガイドラインを浸透・定着させるための取組方針」を経営トップを交え検討・作成し、公表するよう金融担当大臣より要請。

2)地域金融機関の営業現場の担当者も含め、監督指針改正に伴う新しい運用や経営者保証に依存しない融資慣行の確立の重要性等を十分に理解してもらうべく、金融機関・事業者向けの説明会を全国で実施 。【2023年1月~】

3)金融機関の有効な取組みを取りまとめた「組織的事例集」の更なる拡充及び横展開を実施。

3.経営者保証に依存しない新たな融資手法の検討 事業成長担保権(仮)

1)金融機関が、不動産担保や経営者保証に過度に依存せず、企業の事業性に着目した融資に取り組みやすくするよう、事業全体を担保に金融機関から資金を調達できる制度の早期実現に向けた議論を進めていく。【2022年11月~】(引用おわり)

このプログラムが実施されたことで、今後、保証付きを含めた融資を民間金融機関から受ける場合、経営者保証の要否について金融機関と議論出来る素地ができました。しっかりと交渉し納得して融資を受けるようにしましょう。