【経営コラム】事業再構築のための経営の着眼点(その4)

…サービスを特定業種に絞り込む事例!

前回号の続きです。

■着眼点5:サービスを特定業種に絞り込む事例を紹介します。

●例えば、店舗の企画設計を行うA社は、製菓業界(菓子専門店)に対象を絞り込んで店舗の企画・設計、施工管理を行いました。飲食店も、雑貨店も、住宅も、工場も…菓子専門店の店舗以外は一切引受けません。菓子専門店で多くの実績を積み上げて、その実績を同業界に対してのみ告知することで受注の連鎖が起きます。当然、様々な業界に対応できる企画設計会社とは、この業界に対するノウハウ・スキルの差がどんどん広がります。あるレベルに到達した後は、価格競争に巻き込まれることもなく、極めて高い確率で受注できます。絞ることで習得したノウハウ・スキルの差は時間とともにどんどん広がります。

◎総花的な店舗の企画設計会社を経営している会社は星の数ほどあります。また、どんな店舗にも対応できるということの意味は、それぞれに対する深い知見は有していないのと同義です。
上記の会社は、『菓子専門店以外はよくわかりませんが、菓子専門店の店作りに関しては日本一です。』と言い放つことができます。

●例えば、WEB制作、広告企画を行うB社は、整体業に特化してホームページの制作と広告コンサルタントを行っています。整体業に絞り込むことで、再現性の高い成功事例を効率的に収集することができます。コンテンツの共用化も可能です。強い、効率的なホームページの制作やコンサルティングを行えます。

◎総花的なWEB制作、広告企画会社は星の数ほどあります。ここに事業立地を設定すると、上手に広告を行って、他社に負けない価格設定で受注して、効率的にマネージメントできたときにのみ事業が存続できます。サービスを特定業種に絞り込むこと、ここには大きな活路があります。

●例えば、コンサルタント事業を行うC社は、業種を分類してその業種ごとにコンサルティングを行っています。また、その業種は大分類ではなく小分類、とにかく細かく分類して攻めています。過去において、多くのコンサルタント会社は、業種ではなくテーマで分類することが多く、この会社はコンサルタント業界における新しいルールの創造者の地位を獲得しました。基本の戦略は今も変わっていないようです。継続的な成功を収めておられます。

◎ただでさえ難解なコンサルティング事業において、対象企業の範囲を広げることは容易ではありません。業種を小分類まで絞り込むことの最大のメリットは、コンサルタントの養成が容易になることです。

■何でもできるは何もできないと同義です。

飲食店も、雑貨店も、住宅も、工場も…何でもできる?店舗の企画設計会社はたくさんありますが、菓子専門店のみを対象とする店舗の企画設計会社は稀有です。幅広くWEB制作、広告企画を行う会社はたくさんありますが、整体業のみを対象にするWEB制作、広告企画会社はあまり見受けません。
総花的な経営コンサルタントはたくさんいますが、小さな業種に真に特化したコンサルタントも稀です。

サービスを特定業種に絞り込む方法は、汎用性のある戦略です。

※困ったら、悩んだら絞り込むこと【Simple化】を考えてください。
広げるのではなく、絞り込むのです。多くの経営者が真逆の施策を実行しています。

…次回につづく

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