【経営コラム】事業再構築のための経営の着眼点(その1)
…ファイナンス機能を付加する!
ファイナンスはビジネスにとって極めて重要な機能です。分割支払い手数料無料で躍進した通販会社や、クレジットカードの黎明期に自社クレジットを普及させて主婦の支払いを1か月先送りにした(※結果他のスーパーで買い物しにくくなる)食品スーパーなど、その成功例はたくさんあります。また、プラットフォーマーは、そのすべてが金融機能を有しています。大きな収入源です。
一方、金融事業を自らが営める中小企業は稀有です。それでも、世の中に現存する金融ソリューションをうまく活用することで、自社ビジネスを後押しできるモデルを導入することはできます。
■着眼点1:自社の商品やサービスを販売しやすくするために、ファイナンス機能を追加した事例を紹介します。
●ある製造卸販売事業者様の場合、その販売先候補や卸先候補に対して、その与信上の懸念から新規先の開拓が十分できていませんでした。このケースでは、商品力の問題よりも、販売するための与信力の判断または付与が問題になります。
新規顧客開発のためにファイナンス機能を付加することで、大きな売上アップを狙えます。
具体的には、
◆その1…クレジットの付与
新規販売先に対するクレジットを付与します。クレジット会社と提携して、与信上の懸念から新規取引を避けていた販売先に対しても営業を活性化できます。
◆その2…ファクタリングの付与
新規卸先に対してファクタリングを付与します。クレジット会社と提携して、与信上の懸念から新規取引を避けていた卸先に対しても営業を活性化できます。
クレジットやファクタリング等、商流を有する企業と金融会社との相性は抜群です。上手に提携してください。上記の企業様の場合、ファイナンス機能の付加で、10%以上の売上増を見込めます。
●事業者向けに原材料をネットで販売するネット販売会社が、その販売先に対して、自ら設立した金融会社を使ってファイナンス事業を行いました。月末締め翌月末払いの支払いサイトを、1か月伸ばす毎に1%の料率で金利を付与します。
支払いを2か月伸ばした時、月間購入額100万円に対して2%の金利が付与されます。このファイナンスは年率12%の金融商品です。この会社は、商材販売の利益に付加して、金融収益を計上することができます。また、自社商材の販売実績と、金融会社として確認できる個人情報を合わせて審査することで、優良債権として運用できます。
金融会社を自らが設立するのには相応の体力が必要です。このケースでも、金融会社とのアライアンスで代替えできます。
■商品やサービスに自信があれば、ファイナンスなどの付加機能の追加を検討してください。
日本の企業、特にメーカーは、その製品の単機能の性能を磨くことには優れているが、その製品の使われ方に対する全体設計が米国企業に比べて苦手だといわれることがあります。
自動車作りでは世界一であっても、新しい自動車社会の構想力ではグーグルに劣っているのかもしれません。
同様に、商品やサービス自体の性能や品質向上には熱心でも、そのサービスや商品を販売するための仕組み、ソリューションの構築は苦手かもしれません。
◎事業再構築の一環として、ファイナンス機能の付加をご検討ください。
B2Bの領域では、普及の余地が残っています。
…次回につづく
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