【実践コラム】利益よりもキャッシュフロー

…売上の取引条件を見直してはいかがでしょうか。

コロナウィルス感染拡大の影響により赤字になる関与先様が増加しています。しかし、多くの関与先様はコロナ関連融資を積極的に利用し、向こう1年程度は持ちこたえられるキャッシュを事前に確保できているため、金融機関も今回の赤字に限っては大目に見てくれています。

本来利益は大変重要ですが、このような状況下においては、利益よりもキャッシュフローを重視した方が経営は楽になるかもしれません。

月額3万円程度の利用料を売上高とするA社とB社があります。A社は普通に毎月3万円を受け取っていますが、B社は初月に6か月分の18万円を一括で受け取っています。A社は毎月の資金不足を補てんするため資金繰りに奔走していますが、B社は先取りした6か月分の売上代金で人件費等の支払に充てています。A社とB社は同じビジネスモデル、同じ売上高ですが、資金繰りの状況は全く違います。

あるソフトウェアを受託開発しているA社と、パッケージ化して商品にしたB社があります。A社の受託開発期間は平均3か月ですので代金を受け取れるのは最大4か月後となり、その間の人件費の立替に苦労しています。一方のB社は基本機能をパッケージ化しているため納品した時点で売上を立てることができ、翌月には売上の代金を受け取れます。A社は黒字ですが資金繰りは厳しく、B社は将来のために開発費を先行投入して赤字になっているにも関わらず資金繰りに余裕があります。

ある機械を自社割賦で販売しているA社と、リース会社と提携してリース販売しているB社があります。A社は原価相当額を一括で受け取った後、利益部分を10回の分割払いにしていますが、原価部分の一括払いがネックとなり営業面で苦労するうえ、利益は後からの回収となるため資金繰りに苦労しています。
一方のB社は全額リースで販売できるため、営業面でハードルがA社よりも低く、さらに一括で代金の回収ができるため資金繰りにも苦労することがありません。

コロナ禍の影響により世間的には赤字を容認する雰囲気があります。経営状況を無理して良く見せる必要がないのであれば、利益率は良いが取引条件の悪い売上より、利益率はそこそこでもキャッシュフローの良い売上を優先して獲得する方が資金繰りは改善されます。