【経営コラム】値上げは少しずつ丁寧に行ってください。
…コストの上昇を価格転嫁する、この選択をすることで、
付加価値アップの必然性が生まれます。
■【値上げ】と検索してください。様々な商品やサービスの値上げが目立ちます。(ほんの一部を紹介します。)
「ポテトチップスなど一部商品を10年ぶりに値上げ、ペヤングが即席カップ麺ペヤングソースやきそばを193円に値上げ、漁獲量の減少や需要増加で日本水産がサバ缶11品目を値上げ、カゴメが野菜飲料を5~10%値上げへ…ポッカサッポロは大型ペット飲料15品目を物流費や原材料費の高騰により6月1日の納品分から価格を一律20円引き上げ、赤いきつねや緑のたぬきなどが原料の小麦粉の価格や人件費が上がったため6月最大30円値上げ、ココイチが3月1日からカレーを値上げ、食材や人件費の上昇が理由、明星食品が商品の値上げを発表、チャルメラシリーズなど70品目、小麦などの原材料や包装資材の価格、人件費や物流費の上昇などが理由…スターバックスコーヒーが8年ぶりに定番ドリンク値上げ10円程度引き上げ、ドリップコーヒーなどが対象商品で、全体的な価格改定は2011年以来8年ぶり、プッチンプリン実質の値上げへ、日清食品カップヌードルなど各製品を6月1日出荷分から値上げへ、QBハウスのカット料金が1,000円から1,200円に値上げ、キリンビバレッジが大型ペットボトルを値上げ、午後の紅茶も物流費の上昇などが原因で5月1日の出荷分から1本20円程度引き上げる、ハーゲンダッツ値上げ約4年ぶり…」
原材料費や物流コスト、人件費の上昇により、自社の商品やサービスの価格を上げざるを得ない局面が続きます。
(値上げの好機とも言えます。)
■価格転嫁してください。
◆原価が上昇すれば販売価格に転嫁する、これが常道です。
(×)価格に転嫁できるかどうかで悩む。
(○)どうすれば転嫁できるかで悩む。
後者で悩んでください。
○原価・仕入れ価格が上昇しても売価に転嫁できない、と結論付ける経営者は少なくありません。これは安易すぎます。思考放棄です。また、消費税の増税分すら上乗せできない、これは重症です。
○価格に転嫁しても、売上(利益)を落とさない方法を探す、こう考えるべきではないでしょうか。原価・仕入れ価格の上昇を売価に転嫁しながらも、売上(利益)を落とさない方法を考える、このためには相応の努力が必要です。A案、B案、C案、それらの組合せなど、創意工夫と知恵が必要です。
■価格転嫁する、この選択をすることで、付加価値アップの必然性が生まれます。
◆当面続く物価上昇局面において、価格転嫁を前提に創意工夫を重ねていく会社様と、価格転嫁できないことを前提に創意工夫を怠る会社様に分かれてしまうのでしょう。
○価格への転嫁は付加価値アップの試練を与えます。商品やサービスへの創意工夫が求められます。
○価格の据え置きは、付加価値アップの意欲を奪います。コストに対する過度の忍耐から、知恵の創造・付加価値アップは生まれません。
◎5年後・10年後、前者と後者には大きな差が生まれます。
■過去におけるこの考え方の差が、現時点の企業の優劣に表れています。
価格の上昇に消極的な判断を続けてきた会社は、付加価値アップへの挑戦を怠り、結果、価格を上げると売れない実態を余儀なくされています。 一方、価格の上昇に積極的に取り組んできた会社は、それに見合う付加価値アップへの挑戦を繰り返してきました。結果、価格を上げても売上を落とさない企業力を構築できています。
■自社の過去を振り返り、今後の価格戦略を構築してください。
1.原価や仕入れ価格の上昇分は、確実に価格転嫁してください。
2.今後の消費税増税分は、そのすべてを価格に転嫁してください。
3.価格転嫁するために、様々な創意工夫を行ってください。この創意工夫こそが経営そのものです。
4.価格を上げることに積極的な経営を行ってください。
価格転嫁を行わない消極的な経営ではなく、より良いものを創り出して単価アップを狙う経営を目指していただきたいと思っています。後者の方が上手くいくことを、少なくとも歴史と統計は証明しています。この機会に、自社の価格政策についてもご再考いただければ幸いです。