【経営コラム】売上至上主義、利益の見込めない出店計画?
…利益の伴わない売上は本来不要(邪魔)です。
■年商約5億円、営業利益約1,000万円(減価償却費約1,500万円)の飲食業を経営しておられる社長様からご相談いただき
ました。
◎〔社長様〕
「テナント出店の依頼を受けているので出店したいが、家賃が少々高めで損益分岐点ギリギリかも?」、相談を名目に来所されておられますが、真意は「出店したいので背中を押してくれ」と言わんばかりです。
○〔当事務所〕
「来年は、上手く行って年商5億7,000万円、営業利益1,000万円(現状維持)になりますね?」少し意地の悪い質問をさせていただきました。
○〔当事務所〕
「なぜ、利益が出そうもない出店(社長自身がそのようにおっしゃっています。)を目論むのですか?」さらに、意地悪な質問をぶつけさせていただきました。
…中略…
●〔結論〕
空きテナントへの出店、SC(ショッピングセンター)からの持ち込み案件であるにもかかわらず、当方の意向よりも家賃が高いため、大幅な条件変更をダメもとで提示して、先方からの回答を待つ。提示条件以外であれば出店を止める、以後の条件交渉はしない…結論に落ち着きました。
※自分自身で条件を決めて、家賃が○○万円以下なら出店する。
1円オーバーしても出店しない。この様に条件を決めて相手に判断を任せる方法もあります。
…中略…
◎〔社長様〕
「集中して使う食材▲▲を自前で調達できる仕組みを考えている。上手く行けば、新鮮な▲▲を安く調達できるようになる。」
○〔当事務所〕
「コストダウンは金額換算でいくらぐらいになりそうですか?」
◎〔社長様〕
「500万円~700万円ぐらいにはなりそうだ。」
○〔当事務所〕
「相応な利益を積めますね。」
…中略…
○〔当事務所〕
「営業利益率は現在2%ですね。赤字店舗もありますね。」
◎〔社長様〕
「そうですね。」
○〔当事務所〕
「赤字店舗、黒字化を目指すか、退店してはどうですか?いずれにしても目処付けしませんか?」
◎〔社長様〕
「一店舗毎の見極めと対応が必要ですね。」
…中略…
●〔結論〕
魅力の無い新店舗の出店に経営資源を投入するよりも、品質向上とコストダウンが実現できそうな▲▲の内製化に注力する。
また、一店舗毎の店舗再構築を実施する。…この結論に至りました。
※もちろん、やってみないとわかりませんが、これに注力する方がより前向きです。
◎〔社長様〕
「売上を積み上げること、店数を増やすことのみに長年邁進してきました。この新店についても、何とか出店したいとの想いのみで、冷静な判断を欠いていました。」
後日このような言葉をいただきました。
■時には、増収をあきらめて、増益狙いに舵を取ることも必要です。
売上高は確かに重要です。否定するつもりはありません。ただ、それにも程度加減があります。長期間、とにかく売上至上主義で、我武者羅に売上高のみを追いかけ続けることは間違えです。
この様な状況の会社様は少なくありません。【安売り症候群の一種です。】一度立ち止まってもらいたいと思っています。一旦、売上高を増やすことを止めて、売上の中身の見直しを行ってください。増収を長年続けてきた会社様の場合、大幅な増益に転じることもあります。
※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。