【経営コラム】事業計画と運用に関する3つのルール!
1:当初の計画にとらわれ過ぎない経営を!(ヘンリー・ミンツバーグ氏)
2:投資・費用と売上の複雑な関係!
3:コントロールするのか?適合するのか?
■1:当初の計画にとらわれ過ぎない経営を!(ヘンリー・ミンツバーグ氏)
『現実的には、ある程度先を考えておきながら適時対応していくことになるだろう。実現された戦略は最初から明確に意図したものではなく、行動の一つひとつが集積され、その都度学習する過程で戦略の一貫性やパターンが形成される。』
(ヘンリー・ミンツバーグ氏)
計画がなければ始められません。進むべき大体の方向、道しるべが必要です。また、どれぐらいのペースで進めば、主に資金が足りるのか、一つの基準としても計画は有効です。一方、近未来を完全に予見できる程の知見を持ち合わせている人は稀有です。また、日々の経験と成長は、新しい気付きをもたらします。当初計画へ固持し過ぎると、新しい気付きを反映できなくなります。計画を立案してその執行に邁進することのリスクを肝に銘じるべきです。計画の必要性を認識しながらも、当初の計画にとらわれ過ぎない経営が必要です。ヘンリー・ミンツバーグ教授のメッセージを、再度ご確認ください。
■2:投資・費用と売上の複雑な関係!
経営の最終目標は、売上高・粗利益率・販管費のすべての項目を確実にコントロールすることです。これができれば、結果として望む利益も創出できます。
◆ただ、これらの指標は、それらが複雑に絡み合っているので厄介です。
例えば…
・売上を上げようとすると、販促費(販管費)が膨らむ。
・一方、販促費(販管費)を投入しても、予定通り売上が増えるわけではない。
・割引をして粗利益率を落とすと売上が増えることがある。
・ただ、売上が増えても、粗利益の総額(売上×粗利益率)が増えないこともある。
・逆に、値上げをすることで、売上が増えることもある。
・営業人員(販管費)を増やせば売上が増えるはずである。
・ただ、人件費(販管費)の増加分を賄えないこともある。
・旅費交通費(販管費)を減らせば、売上が落ちることがある。
・開発費(販管費)を増やせば、将来の売上は増えるはずだ。
・ただ、将来とはいつなのか、また、どれぐらいなのか予見しにくい。
◆また、投資と成果には時間差が出ることも問題を厄介にしています。
例えば…
・販促費(販管費)の投入と売上の増加には、タイムラグが発生する。
・営業人員(販管費)の投入と売上の増加には、さらに大きなタイムラグが発生する。
・開発費(販管費)の投入と売上の増加には、相当長期のタイムラグが発生する。
◆本来コントロールできるはずの、単独の販管費項目ですら見込み違いが発生します。
例えば…
・人件費(販管費)に想定外の時間外手当が発生して止まらない。
・採用がうまく進まず、採用コスト(販管費)が膨らんだ。
・投資(販管費)が計画を大きく上回ってしまった。
・原価の高騰で粗利益率が下がってしまった。
だから経営とは面白くもあり辛くもありますが、社長という道を選んだのなら、楽しみながら取り組みたいものです。
長い時間を経て、経営管理体制を構築して、安定した業績を出せている会社は、様々な指標が、結果として適正にコントロールされています。
一方、新規事業の立ち上げ、創業は、少なくない割合でうまくいきません。「新規事業や創業事業計画を鵜呑みにしてはいけません。」とお伝えするのはこのためです。
■3:コントロールするのか?適合するのか?
○経営の対象には…
◆1:コントロールできる事
◆2:頑張ればコントロールできる事
◆3:コントロールできない事
の三つがあります。
○経営を安定・成長させるためには…
◆1:コントロールできる事を完全にコントロールする事
◆2:頑張ればコントロールできる事をできるだけコントロールする事
◆3:コントロールできない事には、できるだけ適合する事
※特に、時流には積極的に身を預けるぐらい適合する事が重要です。絶対に逆らってはいけません。
コントロールできる事をコントロールしない事を『放漫経営』と呼びます。
頑張ればコントロールできる事をコントロールしない事を『怠慢経営』と呼びます。
コントロールできない事をコントロールしようとする事を『独り善がり経営』と呼びます。
さらに、時流に逆らう経営は『最も愚かな経営』です。
※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。