【実践コラム】個人信用情報について
…個人の金融事故が法人の資金調達に与える影響を考えます
人生はいつも順調とは限りません。
誰もが、様々な事情で、個人ローンの返済やクレジットカードの支払いが滞ってしまう可能性があります。本日は、個人の金融事故が今後の法人の資金調達に与える影響について解説します。
そもそも、個人の信用情報はどのように管理されているのでしょうか。金融機関は、個人のお客様への融資状況を信用情報機関に登録して共有しています。主だった信用情報機関として、クレジット系の金融機関が情報を登録しているCIC、消費者金融系の金融機関が情報を登録しているJICC、銀行系の金融機関が情報を登録している全国銀行個人信用情報センターがあります。
日本政策金融公庫を例に挙げますと、借入申込書の裏面に、この3つの機関の利用および登録について承諾を得る欄があります。最近では個人情報の取扱いが厳しくなっていますので、金融機関が本人の承諾を得ずに信用情報機関に照会をかけることはありません。書面で承諾を受けた後、照会をかけてネガティブ情報の有無を確認します。
それでは、照会の結果、ネガティブな情報が出た場合、法人の融資審査にどの程度影響があるのかを見てみましょう。
・現在も返済が滞っている。
未解決の状況ですので、新規融資は見送られる確率が高くなります。
・しばしば支払の遅れがある。
これだけで断られることはありませんが、業績や財務内容が良好である等、マイナス面をカバーできるポジティブな材料がないと厳しくなります。
・返済が1、2ヶ月遅れ続けた時期があるが先月完済した。
解決はしているものの、解決してから日が浅いため、新規融資は一旦見送られる可能性が高くなります。
・返済が1、2ヶ月遅れ続けた時期があるが数年前に完済した。
解決してから数年が経過していますので、新規融資を受けられる可能性は十分にあります。
・返済が数ヶ月から数年に渡って遅れ続けた後に完済した。
重度の金融事故になりますので、完済してから5年程度は新規融資は難しくなります。
一般的な事例をご紹介しましたが、もちろん、足元の状況や金融機関によっては違う対応をしてもらえる可能性はあります。
しかし、その場合も、申し込みには注意が必要です。
完済後、5年程度で信用情報機関の事故情報は消えますが、情報が消える前に融資を申し込んだ場合、金融機関内部の記録に事故情報が残ってしまうケースがあります。そうなると、その金融機関には永遠に記録が残りますので、5年経った後も融資を断られる可能性が出てきます。
個人信用情報に傷がある場合は、いざという時には担当者で情報が止まるよう、金融機関の担当者と信頼関係を構築したうえで、融資を打診することをおすすめします。