【経営コラム】「働き方改革」のパラダイムシフトが始まりました。(その2)


…働き方改革の流れに時流適合してください。

…前回のつづきです。

■「働き方改革」は、経営にとって必ずしもマイナスではない、この仮説を持って考えてみたいと思います。

「…日本の2015年度の時間当たり労働生産性は、OECD35カ国中20位で42.1ドルです。米国68.3ドル、ドイツ65.5ドル、イタリア51.9ドル…」〔公益財団法人日本生産性本部労働生産性の国際比較2016年度版から引用〕

日本人が、国を挙げて「働き方改革」に取り組まねばならないほど、日本人は長時間働いています。一方、上記の国際比較からもわかるように、時間当たり生産性は極端に低い状況です。
では、なぜ時間当たり生産性がこれほど低いのでしょうか?

1.労働が間延びしているから、店舗ビジネスでは営業時間が長すぎるから。
2.価格が安すぎるから、総じて皆が安売りを仕掛けているから。
上記の二つの仮説には一定の信憑性がありそうです。(※諸説ありますが。)

この仮説が正しければ、

1.間延びした労働時間を強制的に縮めてしまう、店舗ビジネスでは営業時間を短縮する。
間延びした労働時間を圧縮する、店舗ビジネスでは低収益時間帯の営業を止めることになるため、労働時間を少なくしても収益力は落ちない。労務費を正確に計上しておれば、収益力は逆に向上する。

2.値上げする。
適度な値上げでは、減収効果よりも増収効果の方が上回る。
上記の新たな仮説もある程度納得できるはずです。

働き方改革は、経営にとって実はプラスではないか?と考える論拠はここにあります。

■サービス残業、未払い残業代…ブラック企業に対する制裁が厳格化されそうです。

「政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大教授)は、長時間労働などの監視を強めるため、企業に立ち入り検査する労働基準監督署の業務の一部の民間委託を検討する。委託先は社会保険労務士を想定、主要国に比べて見劣りする監視体制を強化…」
※大企業だけでなく、広く法令順守を徹底するための体制整備の姿勢が伺えます。駐車違反の取り締まりを民間の「駐車監視員」に委託して、駐車禁止が一掃された事例などから、実現の可能性も少なからずありそうです。

これは大きな変化をもたらしそうです。
「残業時間の上限規制」や「勤務間インターバル規制」などの法整備を再度行う一方で、その監視体制を充実させようとしています。中小企業に対するお目こぼしも激減しそうな予感がします。

■時流は「働き方改革」です。時流に逆らわず、適合する道を選択しましょう。

大企業と中小企業では背景が異なりますが、その方向性は参考になります。大企業は、「働き方改革」に舵を切りはじめました。パラダイムシフトが始まりました。
以下、ほんの一部をご紹介いたします。

○「ヤマト運輸は値上げ、サービス内容の見直しの検討を始めました。」
○「ドコモは、営業日を年中無休から月1日程度の休業日を導入し、夜8時の閉店時間を1時間繰り上げる店舗を増やす方針で、4月から順次導入する。」
○「博多阪急(福岡市)は、店舗の営業時間の見直しに乗り出す。低層階を中心に、午後9時までだった閉店時間を1時間前倒しする。」
○「すかいらーくは、深夜2時以降朝5時までの深夜時間帯に営業を行っている、987店のうち約8割にあたる店舗を対象に、原則深夜2時閉店、朝7時開店の営業時間短縮を実施することを決定したと発表しました。」
○「低価格路線と24時間営業店舗の拡大で業績を伸ばしたマクドナルドも、営業時間短縮にかじを切った。」

繰り返しになりますが、「働き方改革」は時流です。パラダイムの転換は誰にも止められそうにありません。また、「働き方改革」は経営にとって必ずしもマイナスではない、この点も踏まえて、前向きに適合して行きましょう。
大きな時流、パラダイムの転換に逆行しても良いことは何一つありません。

◆以下のメッセージは参考です。
「日本の企業は顧客の声を聞きすぎる。顧客の過度な要望への対応は、企業を疲弊させ、低生産性の元凶になっている。顧客を神さまと勘違いして、過剰な対応を行うということは、一方で、自社の経営と社員を疲弊させることになる。顧客に提供するサービスの内容と、負担いただく価格のバランスが、国全体として崩れてしまっていることが、日本の生産性を著しく低くしてしまった。〔お人好し症候群〕が起点となり、〔分散症候群〕と〔安売り症候群〕が常態化している。…」
この仮説をご確認ください。

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