【経営コラム】創業者が陥る4つの楽観主義とは…


◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!

■創業して最初の壁、デスバレー※を越えられない理由は大きく二つです。

1.事業自体が本質的に的外れであるケース。

実はこのケースは案外少ないように感じます。それなりに考えて、それなりの経験を踏まえた創業であるならば、その成功度合いは別にして、何とかやって行けるはずです。

2.事業の立ち上げに想定以上の時間を費やしてしまい、立ち上がるまで資金が続かないために途中で頓挫するケース。

多いのはこのケースです。事業の立ち上げに対する想定が甘すぎる、楽観主義が原因です。

※デスバレー(死の谷)とは…
起業から一定期間、赤字が続く時期があります。そして、ある段階でその赤字幅が縮小しながら黒字化に向かいます。黒字転換して安定できたら起業はひとまず成功です。起業から黒字転換するまでの期間をデスバレー(死の谷)と呼びます。

■4つの楽観主義…

◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!

・10期目の会社が立てた11期目の計画、概ね計画通りに進捗するでしょう。
・3期目の会社が立てた4期目の計画、計画の見積もりには不安が残ります。
・創業時に立案した1期目の計画、過度に保守的に見積もらない限り当たりません。

計画通りに事業は進まないのです。これが実態です。それでも計画は目安として必要です。目安を立てて、ずれを確認しながら事業を運営するために必要です。◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!

計画通りに進捗しなかったとき、それを解決するのは時間です。当初立てた仮説を修正しながら試行錯誤を繰り返します。事業自体が的外れでなければ、時間を要しながらも着地します。計画に対して余分に費やした時間を埋められるのは資金・お金しかありません。資金不足で頓挫する、これは時間を稼ぐ資金を確保できないとの意味です。◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!

計画通りに進まずに、時間が必要、時間を確保するための資金が必要になった折に、金融機関に駆け込んで、資金を求めようとします。これは原則間違えです。難解です。
計画が遅れた、時間を掛ければ軌道に乗る、この蓋然性の説明は容易ではありません。金融機関は原則、足元の進捗・実績を基準に、将来生み出すキャッシュフローを勘案して融資の可否を判断します。(金融機関が有するのは「日傘」であって「雨傘」ではありません。)

◎どうすればよいか…計画をしっかり立案します。一方で、その計画を鵜呑みにせずに計画が遅れることを想定して資金を最大限調達し続けること、これが正解です。◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!

「とにかく売れさえすれば何とかなる」、このように考える社長様も少なくありません。
「売れなければ何ともならない・始まらない」は正解ですが、「とにかく売れさえすれば何とかなる」は正しくありません。
一定額以上売れた時には一定以上の利益を捻出できる値決め・価格設定は経営上極めて重要です。手間暇をしっかり掛けて、よくよく考えて、シミュレーションをしっかり行って、腫物に触るように慎重に決めてください。とにかく値決めに対しては全身全霊を注いでください。

◎どうすればよいか…安売りは絶対にしない、価格を売るための道具に使わない、安売りでしか勝負できない事業なら、事業自体を再考してください。

■4つの楽観主義を改めてください。

◆1.『計画通りに進む』との楽観主義!
◎回答…計画通りには進捗しません。ほぼ遅れます。

◆2.『少ない費用で立ち上がる』との楽観主義!
◎回答…計画の遅れは資金で埋めるしか方法がありません。

◆3.『資金が必要になればお金は借りられる』との楽観主義!
◎回答…資金は必要なときに借りるのではなく、借りられるときに借りてください。

◆4.『安くしても売れればやって行ける』との楽観主義!
◎回答…売上至上主義ではなく、利益至上主義で経営してください。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。