【実践コラム】リスケジュールからの脱却のすすめ


…受け身ではなく積極的に正常化に挑戦しましょう

2008年に起きたリーマン・ショックを受け、中小企業の倒産や破産を防ぐ目的として、2009年に中小企業金融円滑化法が実施されました。同法に基づいて、多くの中小企業様が借入返済のリスケジュールを実施することとなりましたが、現在までリスケジュールを継続している企業様も多くいらっしゃいます。

リスケジュールは、返済負担が軽減されるというメリットがある一方で、リスケジュールを継続している間は、新規融資を受けられないという大きなデメリットがあります。一度リスケジュールを行うと、中々正常化できない要因はここにあると思います。

経営状況が悪化した際に、取り敢えず止血をするという処置は全く間違っていません。しかし、弱った体を回復させるためには、エネルギーの注入が必要不可欠です。事実、リスケジュールを実施した企業様は、売上高が毎期じりじりと下がっていく傾向が見受けられます。新たな資金が入らないため、思い切った投資ができないことが要因のひとつです。

もし、貴社が、「一定の割合で業績は回復したが、元の金額を返済できるほどではないため、リスケジュールを現在も継続している。」という状態ならば、リスケジュールからの脱却に挑戦できるかもしれません。

リスケジュールから脱却する方法は、「返済を元の金額に戻す」だけではありません。元の返済額より少ない金額でも、長期の返済に借換えすることができれば、脱却することができます。元の返済額が100万円で、現在は30万円の返済しかできていないとしても、仮に3,000万円の借入残高があった場合、30万円×100回払いの借入に借換えできれば正常先となります。

ただ、「リスケジュールが継続できれば、現状の資金繰りは問題ない。」という企業様からは、「もうこれ以上借入は増やしたくない。」「借りることができても返済ができるか不安。」「現状維持(リスケ状態)で構わない。」という声もございます。確かに、借入で苦労されたので慎重になるのは当然のことと思います。しかし、最も気にしていただきたいのは、何の投資もせずに数年後も今と同じキャッシュフローを確保できるかという点です。過去数年の決算書を並べて見て、わずかでも売上が減少傾向にあるならば、今のうちに手を打っておくべきだと思います。

信用保証協会も、リスケジュールから脱却するための保証制度を用意して、正常化を支援しようとしています。勇気を持って、正常化にチャレンジしましょう。