【実践コラム】利益が出ているのに税金が払えない理由


…税金に悩まなくて済む方法は財務を強化することです

「税金を払いたくないので利益を減らした。」という話を良く耳にします。しかし実際は、「税金を払いたくても払えないので、やむを得ず利益を減らした。」というケースも多いようです。せっかく利益が出ているにも関わらず、お金が理由で利益を圧縮せざるを得ないのは大変もったいないことです。

法人税等の実効税率は利益の約30~40%です。仮に利益が100万円だったとすると、税額は30万円~40万円になります。税額よりも利益の方が大きいので、税金が払えないはずはありません。しかし、いざ税金を払おうとすると、「手元に現金がない!」ということが良くあります。なぜでしょうか。

利益が出ているのに税金が払えない理由は、利益が現金化されるより前に、税金の支払い期限が到来するためです。税金は利益額を基準に計算しますので、たとえ利益が売掛金の状態であっても、税金を支払わなくてはなりません。この時間的なズレに対処するためには、財務を強化するのが最良です。

税金が払えないからと言って利益を圧縮すると、確かに税金は少なくなりますが、様々な問題が発生します。まず、無理な利益圧縮が脱税と認定されるリスクがあります。もう一つは、決算数値にひずみが生じるため、金融機関から相手にされなくなるリスクがあります。よって、正しい対処方法は、事前にファイナンスを行って、税金を払えるだけの資金をプールしておくことです。

事前に資金を調達するためには、毎月の利益状況を把握して、あらかじめ税金の額を予測しておく必要があります。また、毎月のキャッシュの状況も把握して、どれぐらい資金が不足するかも予測しておく必要があります。

試算表と資金繰表を毎月作成する。やはり基本的な財務活動が安定した資金運営の第一歩です。決算の時に慌てて利益を圧縮することがないよう、資金管理を徹底してください。