【経営コラム】今月・来月末までに資金が必要だ。これでは「遅い」のです
…1カ月遅いのではなく、半年から1年以上遅いのです。
会計は、人類が作り出した偉大な発明の一つです。
会社の財産や収益の状況を、詳細にわかり易く表現してくれる英知の結集です。
自社の経営の場面においては、その状況を継続的に把握することで、経営の成果の確認や、次の判断の礎になります。
また、金融機関や株主などのステークホルダー(利害関係者)に対しては、経営の進捗を示す指標になります。会計とは、たいへん有益で興味深いものです。
経営者は、少しずつでも、会計への理解を深める必要があります。理解した方が得です。また、会社には、会計を行う機能、財務機能が必要です。中堅規模以上の会社には必ずあって、創業から小規模企業・個人事業者様にない機能がこの財務機能です。財務機能は、会社の規模が小さいから不要、というわけではありません。この機能の欠落、財務無策は、創業から小規模企業・個人事業者様が破たんする主因の一つです。
Q1:利益が出ているのに現預金がない。
大変不思議に感じられる方も多いようですが、これはよくある事象です。
A1:「利益は、現金以外に形を変えている。」のが原因です。
・今月売れた商品のお金の回収が来月である時、決算期末が今月なら、決算書には未回収のお金が売掛金として計上されます。今月売れて来月回収できるなら、それは今月の売上です。お金の回収は来月であっても、売上は今月上がります。故にお金には変わっていませんが、利益には加算されます。この売掛金が大きく、お金に変わる期間が長い時など、利益は出ているがお金はありません。
・来月以降売れる商品を事前にたくさん作って(または、仕入れて)持っている場合など、同様の結果になりがちです。
・資産を購入した場合なども、同様の結果になりがちです。黒字倒産は、上記に対する財務無策が原因です。会計を理解しておれば、絶対に起こりえない悲劇が黒字倒産です。
Q2:利益は出ていないのに、現預金は潤沢だ。
A2:多くはありませんが、上記の逆のケースで起こります。
ただし、次の売上が止まった瞬間に急激に資金繰りも悪化します。お金があるから油断していますが、まさかが起きれば途端に破たんします。会計を理解しておれば、事前に打てる手もあります。
Q3:借入れは最小限にとどめたい。
A3:心情的にはわかりますが、正解ではありません。
借入れは適正に行う、さらに、経営基盤が弱く、金融機関の評価が高くない時は、多めに現預金残高を確保することをお薦めしています。経営基盤が強くなるにつれて、徐々に多めから適正に近づけて行く方法が現実的です。
総じて経営基盤の強くない、創業から小規模企業・個人事業者様には、「借りられる時に借りられるだけ借りる。」と申し上げているのはこのためです。
Q4:今月・来月末までに資金が必要だ。
A4:「遅い」のです。間に合わないケースも少なくありません。
「遅い」とは二つの意味があります。
1.
手続き的に間に合わないケースが一つ目です。資金調達はできそうですが、時間的に厳しいケースです。
2.
手続きの時間ではなく、今は調達できない、この意味で遅いケースが二つ目です。
過去の適正なタイミングで資金調達すべきでした。または、もっと早い段階で返済猶予を受けるべきでした。この様なケースは少なくありません。とにかくお金に関する備えが遅い、備えを怠る、創業から小規模企業・個人事業者様に多く見られる財務無策の典型です。
財務に対する施策は、会計を理解した上で、適時・継続的に行うべき事柄です。資金が必要な時に、お金に困った時に、スポットで行う事柄ではありません。
創業から小規模企業・個人事業者様に対して、継続的な財務機能を廉価でご提供する用意があります。税務顧問業務と併せて行うことで、また、必要なスペックのみに限定することで、極めて廉価にご提供できます。
お金に困っていない社長様も、お金に困りそうな予感がする社長様も、「遅い」とならない内に、ご相談ください。少なくない小規模企業様が、財務無策による破たんに陥っている事実を重く受け止め備えてください。
※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。