【実践コラム】融資が通るケースと通らないケースの違い
…加点できるポジティブな要因の有無がポイントです
融資が通るケースと通らないケースの違いはどこにあるのでしょうか。
先日あった大変めずらしいご相談を紹介します。
飲食業で独立を考えているAさんは、日本政策金融公庫に融資を申し込み、700万円の融資を受けました。
しかし、出店を予定していた物件が獲得出来なかったため、融資金を一旦全額返済しました。
それから数か月して新たな物件が見つかったため、再度融資を申し込んだところ、今度は融資を断られたそうです。2回目の申込額が1,000万円に増えてはいますが、それでも数か月前には融資に通った人物が、なぜ今回は通らなかったのでしょうか。
融資審査が通る要件について考えてみます。融資審査は、ポジティブな要因がネガティブな要因を上回った時に「可決」となります。Aさんの場合を考えます。
◆1回目の申し込み
<ポジティブ要因>
・飲食業のキャリアが長い。
・人気の高いショッピングセンターへの出店である。
<ネガティブ要因>
・自己資金が80万円と少ない。
・自己資金の額に比べて借入申込額が700万円と大きい。
◆2回目の申し込み
<ポジティブ要因>
・飲食業のキャリアが長い。
<ネガティブ要因>
・自己資金が80万円と少ない。
・自己資金の額に比べて借入申込額が1,000万円と大きい。
Aさんには、元々「自己資金が少ない」という大きなネガティブ要因があります。1回目の申し込み時は、「人気の高いショッピングセンターへの出店」というポジティブな要因があり、総合的にポジティブな要因が上回りました。しかし、2回目の申し込み時は、立地条件が前回よりも劣っていたため加点要素がなく、かつ申し込み金額も増加したため、ネガティブな要因の方が大きく上回ってしまいました。
天秤に乗せたバスケットに、ポジティブな材料とネガティブな材料をそれぞれ入れていき、最終的にポジティブな材料が重くなれば「可決」になる。という考え方は、創業融資だけに限ったものではありません。これから融資にチャレンジしようと考えている方は、この考え方を参考にしてください。