【実践コラム】売上代金の徴収方法を再考願います


…代金の先取りモデルは事業の成長速度を促進します

中小企業の資金調達力は総じて脆弱です。
財務の目線から見た克服方法のひとつをご提案します。
目新しい方法ではありませんが、「あぁ知っている。」ということと、「真剣に検討して実行に移す。」ことは全く違います。
想像以上に資金繰りに与えるインパクトは大きいので、是非ご検討ください。

■ 料金徴収方法の見直し
商品やサービスを開発した時、販売代金をいくらにするかを検討すると同時に、代金をどのように徴収するかについても深く検討する必要があります。

一般的には、商品を引き渡した後、役務を提供した後に代金を頂戴します。
法人間の取引の場合、代金を受け取るのは1か月先になることも珍しくありません。
よって殆どの企業は、仕入れ資金や人件費を確保するために、銀行から融資を受けています。
これらの商習慣を当たり前のこととして受け入れるのではなく、少しでも早く代金を頂戴出来る方法がないかを思案してみてはいかがでしょうか。

■ 売上代金の先取りモデル
・喫茶店はコーヒーチケットを販売することで売上代金を事前に徴収しています。
・1年分の掲載料を事前に徴収する広告ウェブサイトがあります。
・互助会は「将来の結婚式や葬式費用の積み立て」という形で売上代金を事前に徴収しています。

お客様から事前に預かったお金で、コーヒー豆を仕入れたり、ウェブサイトを開発したり、結婚式場や葬儀場を建設することが出来ます。売れるかどうか分からない商品を仕入れるために銀行から借入をするよりも、お客様に将来の購入をお約束頂いて、代金を事前に預かった方が経営的にも安全です。

■ 事前に購入してくれる理由
事前に購入頂ける理由は、「将来の購入が確実である。」というお客様の強いニーズと値引き等のメリットが必要です。販売側も、1年後に10,000円を受け取るより、今9,000円を受け取った方が、すぐに新たな商品の仕入れや人員の雇用、設備の購入に回せるため、値引きをしても結果的に多くの利益を手にすることが出来ます。

料金の先取りモデルを導入できれば、資金繰りを大きく改善でき、銀行借入れに頼らず自力でスピーディに事業を成長させることが出来ます。
一方、料金を事前に頂いた以上、事業が途上でとん挫することの無いように、より厳格な財務管理体制を構築する責務を負うことになります。