【実践コラム】資金使途に関する銀行と経営者の温度差について


…銀行は想像以上に資金使途を重視しています

「銀行から借りたお金を何に使おうがこちらの勝手」と考えている経営者様は多いのではないでしょうか。
しかし、銀行は経営者様が考えている以上に、「資金使途」に重きを置いています。
融資金を当初の目的と違うことに使った場合、次の融資を受けられなくなったり、場合によっては一括返済を迫られたりします。悪気は無くても資金使途違反を犯してしまうケースがありますので注意が必要です。

◆資金使途違反となるケース
・設備資金として融資を受けたが、その後設備の導入を取りやめたため、運転資金として使用した。
・設備資金として融資を受けたが、当初の計画よりも大幅に安く設備を購入出来たため、余った資金を運転資金として使用した。
・設備資金として融資を受けたが、別会社の方が良いと考え、別会社の名義で設備投資を行った。
・商品の仕入資金として融資を受けたが、かねてからバーの経営に興味を持っており、たまたま良い話があったので、その出店資金に使用した。
・運転資金として融資を受けたが、知り合いの社長が資金繰りに困っていたためお金を貸した。
・運転資金として借りた融資金を、個人的な住宅の購入に使用した。
・運転資金として借りた融資金を、子会社設立のための資本金に使用した。
・運転資金として借りた融資金を、子会社に貸し付けた。
・補助金の交付を受けるまでのつなぎ資金として融資を受けたが、補助事業以外のことに資金を使用した。
                                        …etc

銀行は、「資金を○○に使うことで業績が良化する。」という前提で審査を行っておりますので、○○(資金の使い道)が変わってしまえば審査の結果は無効になってしまいます。また、資金の使い道は変わっていなくても、お金を使う会社が変わってしまった場合は、やはり審査の意味がなくなります。

実務的には、使用された資金が、自己資金なのか、それとも借入金なのか、という見極めは難しい面があります。しかし、設備資金として融資したにも関わらず、その後の決算書に固定資産が計上されていない場合は言い逃れができません。また、子会社出資金、貸付金等の勘定が決算書に上がることで、資金使途違反が判明することも多くあります。

融資の審査をクリアするために、その場しのぎの計画を提出してしまうこともあるでしょう。
そのような場合、融資を受けた途端に名目の資金使途を忘れてしまうものですが、銀行の稟議書にはしっかりと記録が残っています。自社の借入金を明細ごとにチェックし、資金使途違反を犯していないかを確認してみてください。仮に資金使途違反が見つかった場合は対策が必要です。
ご相談ください。