【経営コラム】財務無策は経営危機を招きます。
…運転資金は毎年借り直してください。(●ルール5)
財務無策は経営危機を招きます。
運転資金は毎年借り直してください。
創業4期目、決算から5ヵ月経過した会社様から融資の相談を受けました。3期末時点の決算は比較的優良ですが、今期に入って資金繰りが厳しくなったので融資依頼を行うが、金融機関からはネガティブな対応を受け運転資金は毎年借り直してください。(●ルール5)たそうです。
創業直後に7百万円の融資を受けて返済を続けています。
3期目の売上高は120百万円、創業以来安定的に増収基調です。
○経緯(会社様が行った実際の対応)
・創業第1期目 :創業融資7百万円を受ける。
・2期目 :返済のみ、融資を受けていません。好決算です。
・3期目 :返済のみ、融資を受けていません。好決算です。
・4期目、5ヵ月経過:業績悪化、融資相談、金融機関はネガティブ。
○本来の対応(銀行融資プランナー協会が推奨する)
・創業第1期目:創業融資7百万円を受ける。
・2期目 :期首に、好決算・増収基調により、過去の融資を巻き直して増額融資を受ける。
融資目標額は10百万円。
・3期目 :期首に、好決算・増収基調により、過去の融資を
巻き直して増額融資を受ける。融資目標額は15百万円。
・4期目 :期首に、好決算・増収基調により、過去の融資を巻き直して増額融資を受ける。
融資目標額は20百万円。(今回の)期中の業績悪化は、手持ち資金で乗り切る。
○経緯(実際の対応)と○本来の対応(銀行融資プランナー協会が推奨する)を比較してご確認ください。
『資金繰り円滑化サービス』を行っている顧問先様には、
○本来の対応を推奨しています。この会社様がこの対応を行っていたら、現時点での融資残高は約20百万円(推定)になっています。
今回の必要資金を上回る手持ち資金を有しているので、今回の危機は乗り切れるはずです。
ところが、この会社様は、創業融資を受けて以来資金繰りに困らなかったために、新規の融資を受けておらず、今回資金繰りに困りそうなので融資相談に至った、と言うことです。
財務・金融機関対応方法が明らかに間違えています。
○本来の対応であげた増額融資は、3回とも前向きな成長資金(日傘)です。金融機関もポジティブに対応してくれます。
今回の融資相談は、業績悪化に起因する赤字補てん資金(雨傘)です。金融機関としては、たいへん難しい融資になります。
資金調達は、資金繰りに困りそうだから行うものではありません。
資金繰りに困らないために早め早めに行うものです。
この点をしっかりと理解してください。
当該会社様については、足元の状況を分析したうえで、最大限のサポートを行っています。
貴社は大丈夫ですか?
以下、銀行融資プランナー協会が提唱する銀行取引10のルールを再度ご確認ください。
今回の事案と合わせて、●ルール1、●ルール2、●ルール5をご確認ください。
※『中小企業経営者が押さえておくべき銀行取引の基本ルール10と3つの事例』DVD(90分・レジュメ付き)をご確認ください。
●ルール1:銀行交渉は、いかなる時も前向きに「日傘」しかないからです。(※一部の制度融資・保証商品は除きます。)
●ルール2:お金は、借りられる時に借りられるだけ借りておく。
●ルール3:資本効率等の財務指標は、中小企業には(ほとんど)無関係です。
●ルール4:無借金経営は最終的な目標です。
●ルール5:運転資金は毎年借り直す。
●ルール6:取引銀行は、分相応が良い。
●ルール7:銀行とは信義に沿って付き合う。
●ルール8:銀行対応は、原則書面で対応する。口頭対応のみではNGです。
●ルール9:創業時融資で最大限の調達を。
●ルール10:リスケも前向きに。口頭ではNG、計画書が絶対に必要です。