【実践コラム】融資申込み時点でNGとなる要件について
一度失った信用を取り戻すのには多大な時間を要します。
融資の審査において、決算書や事業計画書が重要であることは言うまでもありませんが、
いくら良い決算書や事業計画書を提出しても、申し込みの段階で断られてしまう要件があります。
正確には、一旦申込は受け付けてもらえるものの、申込時点でほぼNGが確定してしまう要件です。
いくつか見てみましょう。
■ 既存借入に延滞がある
既存借入に延滞がある場合はNGです。融資取引は信用で成り立っていますので、
既存の取引で約束を違えていれば新たな取引は見込めません。
信頼を回復するためには、延滞を解消した後、一定の正常返済実績を積む必要があります。
もちろん延滞に至ったやむを得ない理由はあるでしょう。しかし、ほとんどの場合、
それは聞き入れてもらえません。延滞による信用への影響を最小限にするためには、
延滞が発生しそうな段階から銀行の担当者に相談し、密にコミュニケーションを取り続ける
ことです。少なくとも黙って延滞を開始する行為は避けたいものです。
■ 個人の信用状況に問題がある
経営者個人の信用状況に問題がある場合も、法人の延滞と同様に入口で拒絶されます。
住宅ローン、オートローン、クレジットカード、キャッシング等の消費性借入について、
現在の延滞実績はもちろん、過去の長期延滞実績についても考慮されます。
心あたりのある方は、CIC、JICC、KSC等の信用情報機関に照会し、ご自身の
信用状況がどのようになっているかを確認しておきましょう。
■ 税金や社会保険料の滞納
原則的には、税金や社会保険料に滞納があると審査の俎上に乗りません。例外として、
「国税は滞納しているが市民税は納めており、融資の申し込み時に市民税の納税証明書しか
求められなかった為、結果的に融資を受けることが出来た。」というケースはあります。
■ 金利が10%を超える借入
100%ではありませんが、金利が10%を超える借入がある場合も、それだけで断られる
可能性があります。一般的に、金利の高い融資は業績が悪い時に利用します。
業績が悪いうえに金利負担が増加しますので、正常な状況に戻すのは相当困難です。
銀行等の金融機関は、過去の統計データから「一旦高金利の融資を受けた企業は正常に戻り
にくい。」ことを知っていますので、審査はお断りの目線で進められます。
事業をしている限り、金利の高い借入を利用しなければならない局面もあるでしょう。
経営者の立場から考えると、金利の高い借入を完全に否定することはできませんが、次回の
銀行借入が困難になるという覚悟が必要です。
過去に一旦傷をつけてしまうと、いくら未来の事業計画を立派に描いても、資金調達は
困難になります。誰しもが好んでこのような状況に陥ることはありません。
そうならないために、日頃から資金をこまめに調達しておくなどの備えが大切です。