【お役立ち情報】高年齢者雇用安定助成金の改正について

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
社会保険労務士 今西章


…60歳以上の従業員を雇用している場合は一度ご検討ください

「高年齢者雇用安定助成金」は、60歳以上の雇用保険被保険者を1年以上雇用している事業主が、高年齢者の活用促進のための雇用環境整備を実施する場合に助成金が受けられるというものです。

平成28年度からは「高年齢者活用促進コース」の拡充や「高年齢者無期雇用転換コース」の新設など、利用範囲が広がります。60歳以上の従業員がいる場合は一度ご検討ください。

概要をみておきましょう。

1.高年齢者活用促進コース
以下のいずれかの措置を実施する場合が対象となります。
(1)新たな事業分野への進出
高年齢者が働きやすい事業分野への進出など。
(2)機械設備、作業方法、作業環境の導入・改善
高年齢者が就労の機会の拡大が可能となるような機械設備の導入、作業方法、作業環境の改善など。
(3)高年齢者の雇用管理制度の導入・見直し
賃金制度・能力評価制度の導入や研修システム・能力開発プログラムの開発など。
(4)健康管理制度の導入【新たに追加された措置】
人間ドックまたは生活習慣病予防検診制度の導入。
(5)定年の引上げ
定年の引上げや廃止、あるいは希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入など。

■支給金額
上記の措置に要した経費の2/3(大企業は1/2)か、60歳以上の雇用保険被保険者数に20万円(※)を乗じた額の少ない方の金額になります。(上限1,000万円)
※以下のいずれかの場合は60歳以上の雇用者1人あたりの上限が30万円になります。
(a)建設、製造、医療、保育、介護分野の事業主
(b)65歳以上の高年齢者の雇用割合が4%以上の事業主
(c)機械設備の導入等を実施した事業主

■その他の改正点
次のいずれかの措置を実施した場合は、100万円の費用を要したものとみなして対象経費とすることができます。
(a)定年を66歳以上に引上げ
(b)定年の定めの廃止
(c)65歳以上への定年の引上げおよび希望者全員を66歳以上まで雇用する継続雇用制度の導入

2.高年齢者無期雇用転換コース【新設】
50歳以上で定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換した場合に、対象の労働者1人につき50万円(中小企業以外は40万円)が支給されます。ただし、1支給申請年度あたり
10人が上限です。

60歳以上の従業員を積極的に活用しようとお考えの方は、一度ご検討ください。

今西章(社労士 銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)