【実践コラム】「財務の役割」について


…難しいイメージの財務の役割を分かりやすく解説します

人間ドックを受けたのに検査結果を全く教えてくれない病院、もしくは、結果数値(意味の分からない数字の羅列)だけを渡して解説をしない病院があったらどうでしょう。とんでもない病院だと憤慨するはずです。

法人にとって財務諸表は人間ドックの結果数値と同じです。
もし、貴社が決算数値について誰からも解説を受けていないとすれば、前述の状況にあります。
せっかく検査を受けたのに結果を聞けていない状況です。

もちろん人間ドックを受けなくても長生きをする人はたくさんいます。また赤字などの病気は、明らかに自覚症状がありますので、わざわざ解説など必要ないかもしれません。
しかし、自覚症状のない病気を早期発見するためには、財務諸表を精査することが、最も有効な手段です。

■ 財務の役割その1・・・病気を早期発見する
売上が急拡大している企業が、ある日突然資金不足に陥ることがあります。黒字倒産です。
黒字倒産には自覚症状がありませんが、財務諸表を分析したり、資金繰りを精査したりすることで簡単に発見できます。財務諸表は貴社の病気を早期発見するための貴重なデータです。財務諸表を分析し、病気の早期発見につなげることが、財務の役割のひとつです。

■ 財務の役割その2・・・病気を治療する
法人にとって、人間の命に相当するのは資金です。資金が枯渇した時点で全ての活動は停止されます。よって、資金が不足すれば注入しなくてはなりません。資金調達です。病気にかかった状態で金融機関対応を行うのは容易ではありませんが、専門的な知識と経験があれば解決出来る場合があります。

また、資金調達とあわせて自力で資金を増やすためのリハビリも必要です。
この場合、やみくもに行動するより、売上を上げるべきか、利益率を上げるべきか、固定費を削るべきか、等のメニューに沿って行動した方が効果的です。

資金調達やリハビリ方針の策定により、病気を治すことも財務の大きな役割です。

■ 財務の役割その3・・・病気を予防し健康に育てる
財務は過去を重視しているという印象が強く、社長様によっては「財務で過去をいくら精査しても意味がない。」とお考えの方もいると思います。
しかし、過去を精査することで、未来をより正確に予測することが出来ます。
財務が本来重視しているのは未来です。

問題が発生してから、慌てて借入に動く社長様を多く見てきましたが、対応が後手に回っていては良い結果は得られません。重大な問題をひとたび抱えると、長期間苦しむことになります。

そういった事態を避けるため、過去から現在を見守りながら、将来起きる問題を事前に予測し先手を打つことが、財務の最も重要な役割です。

貴社の健康状態を常に見守っているのは誰でしょうか?
もしかすると、誰もいないかもしれません。