【実践コラム】キャッシュフロー管理のポイント


…資金繰りを悪化させる具体例をご紹介します

言うまでもなく資金は最も重要な経営資源です。
すべての社長様が、常に細心の注意を払って資金管理を行っていると思いますが、本日は、少しでも手元に資金を留まらせるための、資金管理のポイントを解説します。

■ 請求漏れ(遅れ)の管理
請求が1日遅れるだけで、入金が1か月遅くなる場合があります。また、請求金額のミスや、そもそも請求そのものを漏らしている場合もあります。請求書には営業担当者も必ず押印する、2重チェックを徹底するなど、ミスを未然に防ぐ仕組み作りを行いましょう。
売上代金を最短で確実に回収することが、キャッシュフロー管理の基本です。

■ 販売先の与信管理
販売先の倒産による回収不能は資金繰りに致命的なダメージを与えます。
売上が苦しい時に飛びついた相手が・・・というケースも良くあります。
販売先の与信に不安を感じるなら、販売しないという勇気も時には必要です。
もしくは、原価分だけでも先に貰うなど、回収方法を工夫することも忘れないでください。

■ 回収遅延の管理
支払期日を守らない取引先を看過してはいけません。自社の資金繰りに余裕があるとつい甘くなってしまいますが、ビジネスのルールを守れない相手とは付き合わない、という強い信念を持ちましょう。

■ 在庫の管理
モノが不足していた時代は在庫をたくさん保有している者が勝者でした。
現在はモノが余っています。最後まで在庫を抱えている者が敗者となる「ババ抜き」にルールは変わっています。
ウィスキーのように時の経過とともに価値が高まるモノでない限り、在庫の数量は出来るだけ少なく維持し、モノよりもキャッシュで保有することを心掛けましょう。

■ 利益と取引条件の管理
1万円で買ってくれるA社と、9千円でしか買わないB社があります。
普通は高値で買ってくれるA社を重視するでしょうが、A社の支払いは3か月後、B社の支払いは即金、となれば慎重に検討する必要があります。
黒字でも倒産することがありますが、キャッシュがあれば赤字でも倒産はしません。決して安売りを推奨している訳ではありませんが、回収までの期間が長い売上は、確実に資金繰りを悪化させます。取引先の選定は、利益だけでなく取引条件にも着目して行いましょう。

■ 無駄な経費の管理
経費は放っておくと自然に膨らみますので、意識して厳しく管理する必要があります。
具体的には、売上高や粗利益に占める割合を決めておき、その範囲内に経費が収まっているかを毎月チェックしましょう。

順調に資金繰りが回っている企業様でも、ちょっとしたきっかけで歯車が狂うことがあります。
しかし、大きな事故が起きる前には必ず予兆が現れます。
経理事務にミスが多い、無理な押し込み営業が常態化している、顧客と馴れ合いになっている・・・
資金繰りは失敗したと気づいた時には既に手遅れです。
サインを見落とさないよう、毎月しっかりと管理しましょう。