【経営コラム】経営体が患う4大疾病の『安売り症候群』という疾病の正体は…(その2)


…価格を売るための道具に使うと「繁盛貧乏」になります。

…前回号からのつづきです。

■「値決め」は経営の要諦です。
であるにも関わらず、値決めに掛ける手間暇が少なすぎると思っています。
総じて安く付けすぎているとも思っています。
間違えた「値決め」が経営に与えるダメージを過小評価してはいけません。
経営者は閑散な状態を嫌います。
故に、安すぎる「値決め」をして、貧乏しても繁盛したいと考える傾向があります。「繁盛貧乏」がはびこるのはこのためでしょう。経営者は楽な道を選びます。苦労して付加価値を積み上げるよりも、価格を低く抑えて価値とバランスしようと考えてしまいます。価格を売るための道具に使ってしまいます。安売り戦略の大罪は、良いものを創り出そうとする知恵を奪い取ることです。この愚策を長年続けている集団から、新たな商品やサービスを創り出す創造力は生まれません。商品やサービスの価値と価格のバランスは、その価格を下げて市場に合わせるのではなく、その価値を向上させることで調整してください。多くの偉人たちが語る経営の王道です。

■この様に、「値決め」が弱気で利益を出せない経営体、さらに、新しい価値を生み出す創造力を無くしてしまった経営体を『安売り症候群』と呼びます。

『安売り症候群』の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.頑張っているのに儲からない。
2.新しい商品、サービスを創造できていない。
3.利益は出なくて良い、と思うことがある。
4.値上げをしたいと思っていてもできない。
5.ぎりぎりの経営をしていると感じる。

いかがでしょうか?

■病名:『安売り症候群』を整理します。

○値決めに対する姿勢が弱気で、利益管理も曖昧になる病です。

○原因
安くないと売れないとの思い込みが原因です。良いものには相応の値段を(それなりのものはそれなりの値段を)付けてください。良いものを安く売る必要はありません。原価が上がれば価格を見直す、この当たり前の企業行動を取らなければ、利益がどんどん減ります。利益が薄くなればなるほど、良いものを作ろうとする知恵や創造力を失います。最後は、薄利は善、利益は悪の心境に陥ります。こうなると末期です。

○症状    
二つのレベルに分かれます。繁盛貧乏のレベルが第一段階です。このレベルは頑張っているのに値決めを間違えていて儲からない状況です。この段階では価格の見直しを行えば容易に治癒できます。第一のレベルを続けていると、頑張っても儲からないと思い込み、頑張る意欲、より良いものを創造しようとする力を失くしてしまいます。最後には、儲からない自分を正当化するために、儲けは悪、儲からないことが善、ビジネスそのものを否定するようになります。

■『安売り症候群』への対応は…「繁盛貧乏」から抜け出すことです。『高収益化(Profitable化)』と定義します。

○対策は…高収益(Profitable)を目指す、ここから始めてください。
・値決めを再考ください。値上げを検討してください。
・付加価値の向上を目指してください。
・利益管理を徹底してください。
・コストを抑えてください。

■経営体は大きく4つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。
◆病名1:分散症候群  …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:前のめり症候群…有病率30%
◆病名4:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。
【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持すること。
◆第4条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

…次回号につづきます。

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