【経営コラム】ベンチャーキャピタルから投資を受けられる会社様の条件は!


…ベンチャーキャピタルファンドの組成が活況です。 

以下は、昨年の11月17日から18日にかけて渋谷ヒカリエで開催されたTechCrunchTokyo 2016のレポート記事より引用させていただきました。
「 」内は引用です。

「…そもそもスタートアップに投資するお金、つまりベンチャーキャピタルファンドに流れるお金はどのように推移しているのか。最近ではスタートアップの大型調達のリリースを耳にする機会も増えているので、ベンチャーキャピタルの資金も増えているはずだ。1年間のベンチャーキャピタルファンドの組成額は、ここ数年2000億円付近を推移している。ピークと言われる2006年は3500億円に達していたが、その後2008年のリーマンショックから続く金融危機の影響を受け、2009年、2010年は250~300億円と10分の1まで落ち込んだ。そのような時期を経て、やっと回復してきているという。村田祐介氏(インキュベイトファンド代表パートナー)の調べによると、2016年上半期の組成額はすでに2500~2600億円程で、今年度は3500億円に達するのではと予想する。…」

ベンチャー企業向けの投資用のファンドがどんどん組成されています。ベンチャーキャピタルの投資が活発です。投資する際の企業価値評価も、総じてポジティブ、一部は株価が高騰していると言われています。

事業を積極的に仕掛けて、飛躍させたいと考えておられる社長様は、エクイティーによる資金調達にも挑戦してください。

※銀行借り入れなどによる調達をデッドと呼びます。これは借入れです。元金に金利を乗せて返済します。一方、エクイティーとは、自社の株式を新たに発行、買い取ってもらうことで資金を調達します。返済義務はありませんが、投資家は株主として議決権を行使します。
デッドとエクイティーの中間的な転換社債や、議決権を抑えて、配当を優先する、または、近未来の業績に応じて株価が変動する…様々な種類株もあります。会社側と投資家の利害を調整する手法も進化してきました。

■エクイティー資金の投資を受けられる会社様の条件を整理します。

◆1:事業性
○会社を成長させて事業を世に問う、近未来に株式公開などを目指すことが条件になります。一定以上の社会性を有することも条件です。

◆2:経営者の考え方
○資本を他人から受けて、言いかえると、第三者を株主に迎え入れて経営ができることが条件になります。経営が変わります。この決意が必要です。

◆3:将来の収益性
○5年~7年以内に株式公開基準をクリアーできる事業性が必要です。例外を除いて、5~7年以内に数億円程度の純利益を継続的かつ、増益基調で計上できる収益性が必要になります。

◆4:足元の実績または、経営者の実績・経歴
○一定の事業実績が必要になります。
・5年後に売上高20億円、営業利益4億円を計画、実績は、前々期の売上高が1億円で営業利益が▲1,000万円、前期の売上高が2億円で営業利益が2,000万円、今期は半期で売上高が2億円、営業利益2,000万円、これならわかり易いですね。
・収益が伴っていなくても、例えば会員組織を作って将来利益を見込める蓋然性が高い、この場合などでは、その会員数の推移が実績になります。確実に組織が構築されていて、将来的に利益を計上できる合理性があればポジティブです。

○実績が少なければ、経営者の経歴と事業性を評価します。
すごい人が、その経験に沿ったすごいことをやる、これに近いほど投資評価はポジティブになります。業績の裏付けがなければ、経営者の経歴と事業性が重要になります。ただ、事業実績無しの立ち上げ時に投資を受けるのは難解です。ほぼ無理です。

※エクイティー資金の調達は、金融機関借入に比して容易ではありません。

■投資家へのアクションは…
投資家側も事業を探しています。投資に値する事業を見つけるのに躍起です。

◆1:説明資料を準備してください。
・経営者の経歴・経験、今の事業に至った経緯・理由
・事業の有望性と自社が取り組める理由
・中期計画概要、短期的な攻めどころと資金需要(何にお金が必要か?)
・足元の業績

◆2:投資家を探してください。
・ベンチャーキャピタルの所在を探すことは容易です。ホームページで検索すれば出てきます。直接電話をして話せば対応してくれます。投資家側も事業を探しています。
・ご縁があれば紹介を受けてください。ポイントは、エクイティーに縁深い一社・一人を見つけることです。エクイティーの世界は、横のつながりが深く、一社・一人が多くの仲間を紹介してくれます。

■投資を受ける際には、よく理解してください。

◆1:投資家も納得する事業計画が必要です。

◆2:それに沿った資本政策が必要です。あわせて株価も決まります。

これらは、投資家と協議をしながら決めることになります。注意すべきは、名のあるベンチャーキャピタルは総じて紳士ではありますが、それでも株価は安い方が良い、一方、会社側は株価を高くしたい、この利害が存在します。
また、企業価値=純資産+将来利益、この将来利益に会計上の正解は存在せず、売り手と買い手の目論見で決まります。会社側も専門家の助言を受けた方がよいでしょう。

エクイティーに対する知見は、多岐にわたる複雑な内容です。
すべてを理解することは容易ではありませんが、要点だけでも留め置きください。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。