【経営コラム】中小零細企業の人事政策について(その3)
1.「ルールを決めて厳守してもらう」、マネージメントの一丁目一番地です。
2.「従業員に好かれようとしない。」
3.「人に対して無いものネダリをしない。」
4.「3つの最適化」は人事の要諦です。
■「ルールを決めて厳守してもらう」、マネージメントの一丁目一番地です。
極めて高度なクリエーターの集団であるグーグルでは、できるだけルールを少なくして、自由に考え行動できるようにしているそうです。突出したビジネスモデルと収益力を背景にしたブランド力で、極めて優秀な人材を選別できる企業体にのみ許されるマネージメントの理想形です。少しでも近づけたいものです。
一方、普通の人々が働く一般の職場で、このような自由奔放が通るはずありません。一部のメンバーを除いて、一定のルールに沿って、ルール通り執行してもらわないと会社はうまく回りません。
であるにもかかわらず、普通の人々が働く普通の職場である中小企業においては、必要なルールが不明瞭で、かつ、少ないルールも厳守されていないのが実態です。
必要なルールを整備して、整備したルールは厳守してもらう…
マネージメントの一丁目一番地です。掃除を徹底することを推奨されるコンサルティングファームなどは、目に見える掃除を切り口にして、ルールの徹底を促そうとしているようです。的を射た提案です。
◎必要なルールを整備する。
◎整備したルールは厳守してもらう。
このマネージメントの一丁目一番地を徹底してください。
■「従業員に好かれようとしない。」(「心に一匹の鬼を忍ばせる。〔稲盛和夫氏〕」)
◎大きな成功を収めておられる社長は、従業員から尊敬されています。
◎小さな成功を収めておられる社長は、従業員から嫌われ、恐れられています。
◎一方、従業員から好かれている社長は、概ね経営が上手く行っていません。
従業員に尊敬される社長になりたいものです。異論はないはずです。尊敬されるとは、「その人の人格を尊いものと認めてうやまわれること。その人の行為・業績などがすぐれたものと認められること。」です。
尊敬されたいがために好かれようとする社長がいますが、この発想は、明らかに間違えです。従業員に対して、耳触りのよい言葉を多用する社長がいます。従業員の過ちに対して、寛容すぎる社長がいます。叱咤しません。従業員と仲良くなりすぎる社長がいます。この様に優しい社長は、人としては善人であっても、ビジネスを率いるリーダーとしては失格です。「好かれたい」この発想は捨ててください。
一方、嫌われている社長がいます。従業員に対して、耳触りの悪い言葉を多用する社長がいます。従業員の過ちに対して、厳しく対処する社長がいます。従業員とは距離を取っています。理不尽なことも多いのでしょう。仕方ないのではないでしょうか。少なくとも好かれている社長よりはましです。ただし、嫌われるよりは、恐れられる社長になりたいものです。
恐れられる社長がいます。嫌われ&恐れられない=なめられる社長は最悪です。嫌われ&恐れられる社長の方が、なめられる社長よりははるかにましです。
貴社がスーパーマンの集合体の組織(例、グーグル)でないなら、社長として従業員に言うべきことはたくさんあるはずです。指示しても実行されないことも少なくないでしょう。この時、社長として厳しく対処しなくてはなりません。嫌ごとを山のように吐かねばなりません。嫌われますが、これも社長の仕事です。
好かれようと思っている社長にはこれができません。なめられていては、従業員は指示に従いません。尊敬されているか、または、恐れられているか、どちらかの場合のみに指示が通ります。
■「人に対して無いものネダリをしない。」
◎良い会社になった時に、優秀な従業員が入社します。良い従業員が集まるから良い会社になるのではありません。
力不相応の人材を求めてもうまくいきません。達観が必要です。
まずは(今の)力相応の従業員を求めましょう。優秀な人材が集まらないと嘆く社長様も少なくありません。自社や自分の現状を棚にあげて、優秀な人材を求める社長様がいますが、これは無いものネダリです。無いものを求め続けることほど無駄なことはありません。
■「3つの最適化」は人事の要諦です。
最後にもう一度申し上げますが、人事の要諦は以下の3つの最適化です。
1.【従業員の市場価値】と【会社が支払う給与】
2.【会社が従業員に求める業務】と【会社が支払う給与】
3.【従業員の能力】と【その従業員に求める業務】
すべてにおいて最適化のポイントを求め続けることこそ人事担当者の仕事です。中小零細企業では社長の仕事です。最適化がなされておれば、人は概ね辞めません。採用もできます。離職率が極端に高いのは、人が採用できないのは、最適化できていないからです。
この機会に、貴社の人事についてご一考いただければ幸いです。
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