【経営コラム】成長ステージの会社が特に気を付ける事柄!
…成長局面で赤字転落したA社、取引先トラブルを起こしたB社
■成長局面の会社様、売上をしっかり伸ばしましょう。
ただし、
○粗利益率の管理をしっかり行ってください。
○固定費の管理をしっかり行ってください。
○資金繰りの管理をしっかり行ってください。
成長局面の一年間で、売上高が前年比40%増、粗利益率が▲8%、固定費が40%増…大幅な赤字に陥った会社様もあります。(A社)
企業の経営成績は、売上高・粗利益率・固定費、この三つの要素で構成されています。この三つをバランスよく組み合わせることができた時、成長と高収益を実現できます。
A社のケースでは、売上高を優先し過ぎたために、粗利益率を過度に犠牲にしてしまいました。結果、大幅な赤字転落となりました。〔売上至上主義・安売り症候群〕
売上高の伸びを少し抑えて、同時に固定費の伸びも少し抑えて、粗利益率を守る戦略を立案できておれば、このようなことにはなっていなかったはずです。
当該年度のスタート時に、社長様は、「とにかく売上高を伸ばす」と考えておられたことでしょう。そうではなく、例えば、「売上は伸ばしたいが、粗利益率は横ばいを維持する、固定費は20%以上膨らまさない。売上高は20%ぐらい伸ばす。」この様な決意で臨んでおれば、このような大幅赤字には転落しなかったはずです。
業績は社長の想いの結果です。ある意味、社長の想いが実現したようです。
■成長局面の会社様、管理体制の整備をお願いします。
○品質管理の徹底をお願いします。
○労務管理の徹底をお願いします。
○取り扱うサービスや商品数の管理の徹底をお願いします。
創業から急激に成長する過程において、事業立ち上げを最優先して行った結果、品質問題での取引先トラブル(B社)、労務問題の発生、品ぞろえの拡大による利益率の急激な低下に陥った会社様もあります。〔前のめり症候群〕
成長のスピードが速ければ速いほど、会社は様々なトラブルに遭遇します。ある種の必然であり、悲観する必要はありませんが、一つ一つ解決していかねばなりません。解決できないままで、さらに加速を続けると、致命的な問題を起こしてしまいます。成長スピードが実力と比して過度に速ければ…
○サービスや商品の品質トラブルを起こします。品質を守るための仕組みや投資が必要です。
○多忙な業務を現従業員の頑張りのみに長期間依存しておれば、必ず労務問題が発生します。社内からだけではなく、監督官庁からの厳しい罰則を受けるかもしれません。未経験の方にはわかりにくいかも知れませんが、労務問題のダメージは強烈です。
○また、一点特化ではなく、面を拡大しながらの成長は、生産性の悪化を招きがちです。次の成長のための停滞も、時には必要です。
■成長局面の会社様、経営を管理してください。
経営には、管理できることと、管理できないことがあります。
◆管理できる重要なことを管理して、
◆管理できない重要なことをリスクとして認識し備える
ことが重要です。
○会社には各社特有の要諦があります。管理すべきこと、リスクと捉えるべきことは、この要諦です。見つけ出して、管理項目に、リスク項目にあげてください。
○各社共通で管理すべき項目は、
・資金繰り
・(結果としての)売上高
・粗利益率
・固定費
・生産性
・利益
等々です。
動きの速い会社様ほど、管理は重要です。実行してください。
伸ばせる時に伸ばさなければ会社は成長しません。時には、少々無理をしてでも伸ばすことも必要でしょう。一方、会社がリスクに遭遇するのは、停滞期や衰退期よりも成長期であることもご認識ください。
伸ばす時、伸びている時ほど心配して備えることが必要です。
成長局面の会社様の更なるご発展を祈念いたします。
※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。