【実践コラム】債務償還年数とは


…企業の返済能力を判断する重要な指標のひとつです

銀行対応をスムーズに行うためには、銀行員が考えていることを理解することが大切です。
本日は、銀行員が重要視するポイントのひとつである「債務償還年数」について解説いたします。

債務償還年数とは、融資先の返済能力を判断するための指標です。債務償還年数が長い程、新たな融資は出しにくくなります。

債務償還年数を理解するためには、まず簡易キャッシュフローを知らなくてはなりません。簡易キャッシュフローとは、企業の年間返済可能額を表します。計算式は「純利益+減価償却費」です。純利益とは、税金を支払った後の会社が自由に使えるお金です。減価償却費とは、帳簿上の経費であり、実際にお金が出て行った訳ではありませんので、手元に残っていると考えられるお金です。

例えば、減価償却を500万円したうえで、純利益が300万円残れば、500万円+300万円の計800万円が手元に残るため、年間800万円の返済が可能な企業という見方をします。

次は借入の考え方です。債務償還年数を考える場合、実際の借入額をそのまま借入額とする訳ではありません。次の算式で導きだした額を借入額とします。「有利子負債残高-現預金-所要運転資金」です。有利子負債とは役員借入金等は除いた、金融機関からの借入を指します。割引手形も含みます。しかし、一方で保有している預金を差し引かなければ、純粋な借入残高は出ませんので、例えば、5,000万円の借入と2,000万円の預金がある場合、実質的な借入額は、3,000万円と考えます。

借入に関する考え方はこれで終わりではありません。さらに、いつも必要になる運転資金は借入から差し引くことができます。
例えば、決算書から、常に1,000万円の運転資金が必要な企業と読み取れれば、3,000万円から、さらに1,000万円を差し引いた2,000万円を借入額とみなします。

債務償還年数とは、借入を何年で返済できるかという指標です。
今回のケースは、借入額が2,000万円で、年間の返済可能額は800万円ですので、2,000万円÷800万円=2.5年となります。

一般的に債務償還年数が10年を超えると新たな借入はしにくくなります。銀行員が必ず見ているポイントですので、自社の債務償還年数を頭に入れて交渉してください。