【経営コラム】経営の生産性向上のためには、まず止める・減らす!

(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


…改善することより、まず止めるべきことを探しましょう!

■以下のような仮説を持っています。

『会社(そもそも世の中)の諸々はすべて、時間の経過とともに複雑な方向に、増える方向に動きます。世の中のベクトルは複雑化・増加であって、単純化・減少ではありません。
従って、自然に物が増え、書類が増え、手続きが複雑になり…高コストになります。
品揃えが増え、在庫が増え…総花的になります。弱くなります。人は仕事が増え(自らが増やし)…多忙になります。故に、強烈に意識しない限り、会社はややこしくなります。弱くなります。』

■原因を究明しましょう。

○増え続ける理由は、始めることより、止めることの方がはるかに難しいからです。
 新商品や新サービスを発売することは簡単です。前向きな行為だからです。
 逆に、既存の商品やサービスを打ち切ることは難解です。抵抗勢力が出現するからです。
・既存の商品やサービスを利用する一部の顧客を例に挙げて、その顧客の不利益に固辞します。
・部分利益が全体利益を凌駕します。
 商品やサービスに限らず、止めてしまうこと・減らすことが一番の業務改善です。
 止めて・減らした余力が、次の活力の源になります。

●既存の商品やサービスを30%減らす…不可能でしょうか?
「パレートの法則」などを活用して、取り組んでみませんか。

「パレートの法則(パレートのほうそく)は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論。80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる。」

(ウィキペディアから引用させていただきました。)

○仕事が多忙化する理由は、業務改善が不十分だからです。今の業務には本来の目的が有って、その業務は目的達成のための手段です。ところが、いつからかその手段自体が目的化してしまいます。
・(例えば)顧客を訪問することは目的ではありません。情報を伝えたり・販売したり…が目的です。
 情報伝達インフラが進化しても、あくまでも訪問に過度にこだわり続ける営業マンは少なくありません。
・訪問を半分に減らして、その時間を業務に充当し、進化した情報インフラを有効活用すれば対応できるはずです。
 余分なことを止めてしまうことが一番の業務改善です。
 止めて・減らした余力が、次の活力の源になります。

●既存の業務時間を30%減らす…不可能でしょうか?
 重要度の低い業務、置き換えられる業務、成果の曖昧な業務を対象に、業務の棚卸を行ってください。

○社長も同じです。無駄な時間を取り除いて、本来の経営者としての時間を確保しましょう。
 どうでもいいことに関わらない事、コントロールできない事や不得手な事に時間を費やさないようにしましょう。
・お付合いに、過度な時間を費やさないようにしましょう。(脱・お人好し。)
・政治や経済情報(コントロールできない事)に過敏になりすぎないようにしましょう。
・財務や管理が苦手なら、自分一人で悩まず専門家に任せましょう。
 止めて・減らした余力が、次の活力の源になります。

●既存の執務時間を30%減らす…不可能でしょうか?
 過去1か月間の手帳を紐解いて、無駄な時間を探してください。
 明日からに活かしてください。

■限られた経営資源で業績を維持・向上させるためには、経営資源の適切な配分や生産性の向上が必要です。また、生産性の向上を図るためには、諸々取り組んでいることの業務効率を上げることも当然必要ではありますが、そもそも余分な業務を行わないことや、方法を抜本的に見直すことが重要です。

(多くの人が)考える対象が多すぎて、頭の中が飽和しています。やるべきことが多すぎて、時間に余裕がありません。思い切って、考えるべき対象とやるべき事柄を減らしましょう。
目標は30%です。改善することより、まず止めることを探しましょう。
空いた30%で、よく考えながら、創造と改革に励みましょう。

この機会に、ご一考いただければ幸いです。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。

田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 一般社団法人銀行融資プランナー協会代表理事)